森山 至貴
Noritaka Moriyama
=2011年度・第22回朝日作曲賞受賞=
作曲家、社会学者。1982年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士課程単位取得満期退学。第22回朝日作曲賞受賞。第13・18・20回朝日作曲賞佳作受賞。大学院生時代には東京大学コーロ・ソーノ合唱団の学生ピアニストとして松本望氏の合唱組曲『むすばれるものたち』の初演に携わった。作品はBRAIN
MUSIC、音楽之友社、教育芸術社、Pana
Musica、カワイ出版から出版されている。現在、早稲田大学文学学術院准教授。社会学者として大学での研究、教育もおこなっている。
作品リストHP https://workflowy.com/s/GEdI.XBU0ZuFc5Z
● ● ● 受賞曲 ● ● ●
混声合唱とピアノのための
「さよなら、ロレンス」(四元
康祐
詩)
受付/意思決定/労務管理/市場崩壊
*
2012年度全日本合唱コンクールの課題曲に「受付」が選ばれました。
全曲初演
YouTube 演奏:「遊声」
● ● ● 作品へのコメント ● ● ●
◆苦味の効いたおとなのための作品を
合唱を始めた高校1年生の時以来今まで合唱人の友人には恵まれてきましたが、最近彼女ら彼らの合唱との関わり方の変化を強く感じるようになりました。部活動やサークルで合唱を楽しんでいた人たちが、いつのまにか企業や役所に勤めながら時間をやりくりして合唱を続けているのです。必死で残業を回避し、貴重な休日を返上して歌に取り組み続けるたくさんの合唱人たち…その熱意に応える歌を書きたい、との思いで作曲しました。
…作曲しました、しましたがいかんせん作曲者にその適性がなかった(汗)。なにしろ私はついこの間まで学生だったので、企業や役所に勤めたことがないのです。上司ってのは言葉の通じない化け物なのではないかとか、企画書は暗号文書なのではないかとか、およそ粗末なイメージしか持ちあわせておりません。そこへきて、会社をまるごとマジックリアリズム的に描き出す四元康祐さんの素晴らしい詩に出会ってしまったので、私の暴走は止まらない。詩人の想像力と作曲者の妄想力が邂逅し、不条理極まりない作品ができてしまいました。
でも、です。自分が否応なく巻き込まれた不条理さを高らかに笑い飛ばせるのもまたおとなの魅力ではないですか。諧謔と毒にあふれたおとなの方々にこそ、苦味の効いたこの作品を楽しんでいただけるはずです。高校生や大学生も、この作品に取り組めばおとなの階段を駆け上がれること間違いなし(ろくでもないおとなになれることは私が保証します)。来年度のコンクール課題曲G4となる『受付』をはじめ、多くの人に楽しんで歌っていただければ幸いです。
最後にひとつだけ。演奏審査において今受賞作を演奏いただいた松原混声合唱団には、今回を含めこれまで拙作を5作品も演奏審査で歌っていただきました。指揮の清水敬一さん、ピアノの内平麻里さん、団員のみなさま、今までありがとうございました。演奏審査で歌っていただくのはこれで打ち止めですから、ご寛恕を!
全日本合唱連盟会報ハーモニーNo.158(2011年10月号)掲載
● ● ● 主な作品リスト ● ● ●
●作曲作品
【合唱】
混声合唱とピアノのための『たべもののうた?』(2007→2008)
男声合唱とピアノのための『どうぶつのうた?』(2009)
混声合唱とピアノのための『さよなら、ロレンス』(2011)
混声合唱組曲『沈黙のありか』(2011)
混・男・女声合唱曲「どのことばよりも」(2011・2015・2016)
(混声版)/(男声版)/(女声版)
混声合唱組曲『蝶
はばたく朝』(2012〜2014)
女声合唱とピアノのための『おてんきのうた?』(2010→2013)
混声合唱とピアノのための『コーラス』(2013)
男声合唱とピアノのための『始原の蛇』(2014)
混声合唱組曲『太陽と海と季節が』(2014)
混声合唱とピアノのための『かなでるからだ』(2015)
混声合唱とオルガンのための「最初の質問」(2015)
混声合唱曲 「栞」(2016) (ピアノ伴奏版)/(無伴奏版)
混声合唱曲「シシリアン・ブルー」(2016)
同声合唱組曲『ころがる石のように』(2017)
混声合唱組曲『鼓動』(2018)
女声合唱とピアノのための『儀式』(2018)
混声合唱とピアノのための『サクリファイス』(2018)
混・男・女声合唱曲「A Freedom Song」(2019)
混声合唱曲「この世界のぜんぶ」(2019)
混声合唱組曲『きみの胸の丘では』(2019)
リモート合唱曲「うたのなか」(2020)
【声楽】
「世界中年会議」バリトンとピアノのための(2017)
【室内楽】
ピアノソナタ第1番(2017)
●編曲作品
【合唱】
「Preserved
Roses」(2015)
「革命デュアリズム」(2015)
「'O sole mio」(2017)
「Million Clouds」(2019)
「Happy
Birthday to You」(2019)
「桜流し」(2020)
「シンガーソングライター」(2020)