栢森千紘 Chihiro Kayamori
=第3回〜第5回出演=
三重県名張市出身。大阪教育大学大学院音楽教育専攻声楽コース修了。修了後渡仏し研鑽を積む。
関西歌劇団「修道女アンジェリカ」にてデビュー。「ヘンゼルとグレーテル」露の精役等、多数のオペラに出演。2015年には、「アジア太平洋青少年合唱団(APYC)」の日本代表として、ミラノ万国博覧会や世界合唱博覧会にて演奏する。これまでに、G.ペルゴレージ<スターバト・マーテル>、J.ラター<レクイエム>等の宗教曲ソリストを務める。第27回みえ音楽コンクール第3位。第18回大阪国際音楽コンクール歌曲コース入選。声楽を長谷川豊子、寺尾正、日下部祐子の各氏に師事。
現在、山田音楽院講師、Ensemble Musicusヴォイストレーナー、Japan Chamber Choir団員。神戸フォーレ協会会員。関西歌劇団正団員。
皆様初めまして。栢森千紘です。私は、現在京都市に在住しており、関西を拠点に声楽家として活動しています。オペラに出演したり、芸術歌曲を独唱したり、声楽アンサンブルの一員として歌ったりと、様々な形態で舞台に立っています。またその傍ら、声楽講師や合唱団のボイストレーナー、児童合唱の指導者としても活動し、合唱と関わり続けています。
一体何がきっかけになってJCAユースクワイアの存在を知ったのかは、もはやあまり覚えていませんが、地元の三重県で開催された第3回に参加したことをきっかけに、私の人生は大きく変わったように思います。
第3〜5回まで計3回参加しましたが、全編英語でのリハーサルは全ての瞬間が刺激的でした。第3回のKari Turunen氏は、クレバーで紳士的に我々を導いてくださいました。「皆さん自己紹介とワンフレーズ何かを歌ってください。」と言って始まった各々の自己紹介が、なんととある曲の先唱者のオーディションを兼ねていたのです!第4回のMaría Guinand氏は、情熱的で時に厳しく時に温かく指導してくださいました。合宿中には、指揮者とメンバー同士の親交を深めるための交流会が企画されますが、そこでゲラゲラと笑いすぎた私たちは次の日の朝、声が疲れてうまく歌えなくなるという事態に陥ってしまいました。”too much party!”(意訳:はしゃぎすぎやで!)と叱りつつも、その後のリハーサルをうまくまとめ上げ、最も良い状態で本番へ持っていく手腕が素晴らしかったです。Maríaとはその数年後マカオで開催された「世界合唱博覧会」で再会したときに、とても喜んで抱きしめてくれました。そんな思い出もあります。第5回のRobert Sund氏は、愛らしく無邪気な一面もあり、私たちを惹きつける魅力を沢山持っている指揮者でした。Sundが行ったウォーミングアップは、彼の素晴らしいピアノの即興伴奏が添えられていて、なんと贅沢な時間なんだろうと感動しながら発声練習したことを覚えています。日本にいながらにして、世界で活躍する素晴らしい指揮者、そして彼らのバックボーンにある古今東西の音楽に触れられる機会はなかなかないと思います。
また、合宿を共にするクワイアのメンバーたちは同世代の精鋭ばかりで、これまた刺激的でした。声楽を学ぶ人や、合唱指揮を学ぶ人、合唱強豪校出身の人なんかもいて、集まった人は様々でした。「コンクールで戦った人や!」「テレビで(ネットで)見た人や!」となることもありました。リハーサル外の時間では、津の旅館で温泉につかり語り合ったり、山中湖に朝の散歩に行き富士山の絶景を眺めたり、福島では皆で集まって暗譜したり、餃子を食べたり…楽しかった思い出が蘇ってきます。今でも仲間たちとは交流があり、顔を合わす機会のあるメンバーもいます。他のメンバーも、国内外で活躍する様子を嬉しく思い、また自分も頑張らなければと鼓舞してくれている稀有な存在です。
初めて参加した時から10年近く時が経ち、すっかりユース世代ではなくなってしまったのですが、ユースクワイアの解散式でよく聞いていた言葉が今でも私の活動の軸になっています。「ユースで撒かれた種を持ち帰り、自分の場所で花咲かせてください」といったものです。ユースでは全日本合唱連盟をはじめ、開催地の合唱連盟等、沢山の方々が手厚くサポートしてくださり、得難い経験をさせてくれます。それは、皆さんが未来を担う若者だからです。どうか、若い皆さんが積極的に参加され、ユースで撒かれた種を持ち帰り、それぞれの場所で花を咲かされることを心から祈っています。