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椿 翔太 Shota Tsubaki


=第2回出演=


1993年生まれ。鳥取県出身。

松柏学院倉吉北高校を経て、愛知県立芸術大学音楽学部音楽科声楽専攻首席卒業。卒業時に学長より桑原賞を授与。第48回愛知県立芸術大学音楽学部定期演奏会出演(愛知県立芸術劇場コンサートホール)第47回愛知県立芸術大学音楽学部卒業演奏会選抜出演(愛知県芸術劇場コンサートホール)。読売新聞社主催第86回読売新人演奏会(東京文化会館大ホール)出演。

高校在学中、鳥取県高等学校総合音楽祭独唱部門に出場、3年連続最優秀賞受賞。

鳥取県代表として大分県竹田市主催、瀧廉太郎記念全日本高等学校声楽コンクールに3年連続出場し第64回大会にて優良賞、竹田市市長賞、ライオンズクラブ会長賞受賞。第65回大会第1位。文部科学大臣賞、立川澄人賞、大分県知事賞、大分県竹田市市長賞、ライプツィヒ賞をはじめとする多数の賞を受賞。2012年8月ウィーン国立音楽院夏季セミナー受講修了。

ディプロマ取得。平成26年度公益財団法人山田貞夫音楽財団奨学金奨学生(名古屋)。平成27年度公益財団法人青山財団奨学金奨学生(京都)。

これまでに声楽を生原幸枝、西岡千秋、瀬川武、フランツ・ルカソフスキー、大槻孝志、二神二朗の各諸氏に師事。

現在、イタリアミラノ市立クラウディオ・アッバード音楽院独唱科に在籍し、ベルカント唱法の確立に向けマスタークラスなどに参加し研鑽を積む。ルーカ・ゴルラ、ロベルト・コヴィエッロの各氏に師事。コンサートや宗教曲ソリストなどを務める。ミラノ在住。

現在、イタリア・ミラノで音楽院に通いながら、声楽の基本発声"ベルカント唱法"の確立にむけ研鑽を積んでいる。また、ソリストとしてオペラの舞台やコンサート、宗教曲ソリストとして活動する傍ら、現地日本人駐在員家庭やイタリア人、現地に住む外国人達にピアノや歌など後進の指導も行う。日本では、地元・鳥取県を中心に地域住民と音楽を繋げる活動を精力的に行いコンサートなどに出演している。

私は、第2回JCAユースクワイアのメンバーでした。会場は富山県。全国から集まった若者たちで構成された合唱団の一員になりました。指揮者は、ドイツから招かれたプファフ先生。私は、高校時代から愛した合唱を、全国から選ばれた合唱を愛する若者たちで創り上げられることにドキドキ・ワクワクしていたのを覚えています。

 曲は、ラテン語から始まりドイツ語、日本語と多国語の合唱曲を歌いました。

 私は、合唱とは"声のオーケストラ"だと常に思っています。楽器演奏者が各々持っている"音質"があるように歌う我々も"声質"があります。何重にもあるその声質(響き)を一つの糸のように合わせる事で同じパートで何十人歌っても一つの声のように聞こえるという事です。このように他国の合唱曲を歌うという事は、"母音の響きをどのように保ち"そして"どのように子音を処理するのか"当時の私には、少しの知識しか持っておらず、この合宿期間で勉強した事は財産になりました。全体練習が終わった後でも、男声パートはパートリーダーの部屋に集まり、その日マエストロから言われた改善点やパート内でのアドバイスなどを話し合うなど参加者各々の意識が高く、とても良い合宿期間を過ごしました。我々の母国語の日本語は、開口母音・閉口母音などありません。一方で、外国語になると5つの母音の他に開口母音・閉口母音が伴います。そのような異国語の合唱曲を歌う経験は、とても良い勉強となりました。

 最終日の演奏会。1週間学んだ事を披露する本番では、一人一人の目が輝き、歌う喜びに溢れ、出演者みんなが本当に楽しく歌っていました。

 最後に歌った武満徹氏作詞作曲の「小さな空」は、どこか集大成の終わりを告げる哀愁ある雰囲気でした。日本語の意味を分かる我々が四声で創り上げたハーモニーはとても和やかで、今まで団員で創り上げた音楽が思い出へと変わっていく、そのような温かい音楽で締めくくられました。

 私は、現在イタリア・ミラノで歌い手として、技術向上と様々な可能性への挑戦の為に勉強を続けています。ソリストとしてオーケストラと地域合唱団と一緒に、教会で宗教曲のコンサートを行う事があります。オーケストラや合唱と共演するなど、一人で歌う「独唱」とは違ったソロを歌う事もあります。石で積み上げられ造られた教会は豊かな残響があり、その中で響き渡るバランスのとれた声が重なり合うハーモニーには、流石西洋音楽だと感銘を受けます。

 このように、歌い手として勉強を続け様々な経験をさせていただきながら、私は今後も、歌を愛する人達、合唱を愛する人達が、みんなで音楽を創り上げる事の喜びを分かち合うため、今経験している事を役立てられるよう勉強を続けていきたいと思います。

 このJCAで出会った友人達は、各自各方面で活躍しており10年以上経った今もなお、繋がっている事は、大変嬉しい事、幸せであり、またどこかの舞台で共演できるそんな期待をしています。

 これから参加される皆さんも、この経験は今後の活動の栄養として役立ちます。我々の若さだから様々な事に対応でき、吸収できます。数年前からコロナウィルスという目に見えないウィルスによって今まで当たり前だった事が当たり前では無くなりました。そんな世の中だからこそ一緒に音楽を共有するというこの機会をしっかり楽しんでください。

 皆さんのご活躍を願っています。

 また、このような素晴らしい機会を作り運営してくださる全日本合唱連盟の皆様の更なるご活躍とご発展を祈っております。