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World Youth Choir 2004 in Korea
世界青少年合唱団2004
2004年7月26日〜8月17日



音楽を通して世界を知る 〜夢のようなWYCでの1ヶ月間〜

佐々木ひろ子(宮城県)

 つい数日前に今年のWorld Youth Choir(WYC)の開催国であった韓国から帰国したばかりで、WYCという夢の日々から現実に戻れないまま、今この1ヶ月間を振り返っています。そしていざ書こうとしても、蘇ってくる思い出が多すぎてなかなか書き出せません。それほどこの夏は、今回はじめて参加した私にとって、驚きと感動のたくさん詰まった夢のような日々だったのです。
 もちろん当初は、日本からたった一人の参加という事にプレッシャーを感じたり、文化の違いや慣れない日程に戸惑ったりする事もありました。また何よりも、予想はしていたものの、いまだ韓国に残る根強い反日感情に対しては日本人一人という状況は辛く感じられ、心が痛みました。いたるところで「日本による侵略」についての説明があり、その度に自分の意見などを懸命にメンバーに話していたように思います。そして逆に、心からこの問題を話したことで皮肉にも、いい友人関係を築くことが出来た気がします。
 また、そんな中での和歌山への演奏旅行は、メンバーそれぞれが日本のあらゆるもの(自然、町並み、食事、訪れた高野山や和歌山城、そして人)に感激したようです。ホームステイは特に心温まる交流が持てたようで、韓国に戻っても「日本が大好きになった」と口々に話してくれるなど、日本滞在が充実したものとなったようです。私としても皆がこのように感じてくれたこと、そして久々に日本の空気を吸ったことで非常にリラックスすることができました。コンサートも多くの方に聴いていただくことが出来、和歌山の皆さんとスタッフの方々のおかげで、WYC日本公演は大成功となりました。
 振り返ってみると、本当に多くの素晴らしい出会いがありました。忘れられない名(迷?)言が次々と飛び出すユーモアに富んだゲオルグと、日本公演の際のMCを急に担当する事になり緊張する私を暖かいまなざしで見守ってくれたアントニーという二人の指揮者。WYCのディレクターであり、いつも優しく声をかけてくれる、素晴らしい人間性を持ったジェン=マーク。アジアの生活様式に戸惑う団員に「WYCは決してヨーロッパスタンダードで動いているのではない、ヨーロッパ以外の地域にも開けた団体なのだという事を理解してほしい」;次回のWYCにも頑張ってTryしたいと言う私に「No! Tryするんじゃなくて、ただ enjoyしてればいいんだから!」…などなど、彼の言葉はいまだに私の心に残っています。そしてメンバーとの出会い。音楽との出会い。一日中的確な指導と素晴らしいハーモニーに身をおける日々は、世界中の友人達と共に音楽を追求できる喜びを感じることのできる毎日でした。WYCの作る「響き」は本当に透明で、お互いに倍音を感じながら歌った心地よさは忘れられません。無理な力が一切入らない自然な発声と高い倍音を持つ声で柔軟に音楽を響かせます。アルトで一緒に歌ったカウンターテノール3人の声も本当に魅力的で美しく、堂々と歌っていたのが印象的でした。一人一人の音楽性やソルフェージュ能力も当然ながら驚くほど高く、非常に正確な音程で初見の曲もさらりと歌いこなします。合唱がどのようなものだったのかをはっと気づかせてくれる体験でした。彼らとは練習だけでなく、ビーチに泳ぎに行ったり買い物を楽しんだりと交流を深めることが出来ました。一人一人柔軟な音楽性と思考・豊かな感受性・そして確かな「自分」を持っており、自分の未熟さを感じることもありました。再会を誓って別れた最後の日は寂しかったけれど、彼らを知ることができた事は自分にとって素晴らしい財産となりました。
 音楽は世界共通の言語とはいいますが、コミュニケーションをする際は当然ながら言葉や文化の違いは壁となって立ち塞がります。しかしその壁があるからこそ、音楽を共に追求する中で、文化の違いを知り、認め合い、心を通わせることができた瞬間の喜びが大きく、強い絆が出来るのだと思いました。音楽を通して「世界を知る」ことが出来るこのWYCというプロジェクトに、可能な限りずっと関わっていきたいと思っています。そしてこの経験を大切に、これからも芸術活動に真摯に取り組んで行きたいと思います。また、WYCで素晴らしい体験をする日本の若い音楽家たちが増えることを願っております。
 最後に、今回参加するにあたり励まし支えてくださった全ての方、指導してくださった全ての方、お世話になった方全員に、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。


This session of the World Youth Choir is hosted and organized in collaboration with the Asia
Pacific Regional Secretariat of the IFCM and the Korea Choral Institute, supported by the
Ministry of Culture & Tourism of the Republic of Korea and the Busan Metropolitan City.

Conductors: Georg Grun, Germany and Anthony T. Leach, USA
Rehearsal camp place: the City of Daegu
Dates: From July 26th to August 17th, 2004
Concert tour:
August 6 : Busan Culture Center
August 7 : Geumjeong Culture Center
August 8 : Church
August 11 : Wakayama City
August 13 : Daegu
August 14 : Daejeon
August 15 : Seoul
Programme:
First part, conducted by Georg Grun
The hollow Hills, Andrew Simpson
Soupir, Maurice Ravel/C. Gottwald
Scheiden und Meiden, G. Mahler/C. Gottwald
Des pas sur la neige, Claude Debussy/C. Gottwald
Der Abend, R. Strauss
Hear my prayer, H. Purcell/S.D.Sandstrom
Immortal Bach, K. Nystedt
Second part, conducted by Anthony Leach
Walk Together Children (SATB with Piano), Anthony Leach
Good News ! (SSAA), Rosephanye Powell
Got A Mind To Do Right (TTBB), Morrow Lawson-Gould/David
There Is A Balm In Gilead (SSATTBB), Raymond Wise
No Mirrors In my Nanna's House (SATBB), Barnwell/Ysaye M.
Nia (SATB), Burleigh/Glenn E.
Bless Me (Prayer of Jabez) (SATB), Lauwrence/Donald
True Light (SATB), Hampton/Keith
Shout Glory ! (SATB, solo with piano), Smith/Byron J.


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